NTSCとPAL、エリアプロテクト まとめ

Chapter 1: 映像方式の違い。そもそもPAL化とは?

 世界的には多くの地域で「PAL」が、日米ほか極一部の地域で「NTSC」が採用されているほか、
 他にも幾つもの映像方式が存在しています。
 「PAL圏のソフトがNTSC圏の本体で動かない!」という事例は、
 意図的なエリアプロテクトや、単なる相性の悪さから生じています。
 そこで、NTSCの本体でPALソフトを動かす為に、本体をPAL化しなくてはならないのです。
 NTSC方式とPAL方式の違いを超簡単にまとめますと、

NTSC
PAL
垂直同期周波数
60Hz
50Hz
走査線
525本
625本
その他の要素
諸々
諸々
 このうち、素人による本体の改造では「その他の要素」は変わりません。(…と捉えたほうが楽です)
 PAL化=垂直同期周波数が50HzというNTSC、便宜上「NTSC50」と呼びます。

 PALのエリアプロテクトは50Hzかどうかだけをチェックして来るので、
 NTSC本体ならNTSC50化した状態で起動して、無事起動後に、NTSCに戻せば問題ないということです。
 その為、改造時には「切替スイッチ」を付ける必要が出てきます。

Chapter 2: 機種別・エリアプロテクト対処法

【SFC】
 北米SNES版のカートリッジ(以降、略してカート)は物理的に挿さらないけれど、日本と同じNTSCなので
 本体側を削ったり本体上蓋自体を撤去すれば挿せる=100%動作します。(よって北米版に関してはこれ以上言及しません。)
 問題は欧州・豪州でリリースされたPAL版のカートです。
 スーパーファミコンのエリアプロテクトは “ NTSCなのかPALなのかを区別する ” ものだけですが、
 正確には、タイトルによっては「PALタイトルなのか」・「本体が50Hzなのか」という2段構えでチェックして来るのです。

  T.全ての
PALソフトはNTSC本体では起動すらしてくれません(警告メッセージすら出ない真っ暗な画面)。
  U.その中でも更に、一部のタイトルは、
    本体の映像方式が50Hzかどうか判断し、そうでなければタイトル画面へ進ませません。

 コンバーターは、安価なタイプと比較的高価なタイプがあります。
 背後に(自国の)ソフトを挿すメス端子が付いていない安価タイプは、
エリアプロテクトのTすらクリアーできず、
 本体電源を入れても画面は真っ暗のままです。一方で、
  「背後に(
自国の)ソフトを挿すタイプ」の、比較的高価なコンバーターは、エリアプロテクトのTをクリアーでき、
 すべてのPALソフトを起動すること自体は可能になるが、そこから無事タイトル画面へ進むか否かは
 タイトル次第ということになります。進めねば、そのタイトルはコンバーターで以っても遊べないということです。
 (言い換えれば、Uをクリアーできるコンバーターは無いのです。)
 そこで、SFC本体を改造しましょう・・・と相成るのです。


第1段階:Tをクリアーし、
 すべてのPALソフトを「起動自体は」できるようにする


 左画像のTの部分を見て下さい。
 F411 C1990 Nintendo 9204 X、と書かれています。
 その、(左画像で)左側の上から4番目の線を切ります。

 誤解のないように右に模式図を貼っておきます。
 やり方は、
 4番目の線に彫刻刀(切出タイプ)を斜めに
 当てがって、その彫刻刀のお尻を
 金槌でトントントン・・・。切れたか確認。
 これだけでOK!
 すべてのPALソフトが起動はするようになる。
 これで、「背後に(自国の)ソフトを挿すタイプ」の
 コンバーター(比較的高価)すらも、今この瞬間から
 貴方にとって無価値な存在となる筈です。

第2段階:Uをクリアーし、
すべてのPALソフトを
      タイトル画面に進ませる

 上画像を分かりやすく模式図化したのが、右のイラストです。
 この通りに配線すれば、スイッチを切り替えるだけで
 映像方式の60Hzと50Hzを切り替えることができます。
 50Hzの状態で起動し、タイトル画面に進んだら、
 60Hzに切り替えてゲームを楽しむ。

用意するものは:
 半田ごて、半田、導線、2.2kΩの抵抗、3Pスイッチです。
 半田ごてはホームセンターで売っている一番安いタイプを。
 残りは特殊な電気店かプラモデル屋で売っています。

初心者が失敗する可能性があるのが、
その、「24番目に半田付けする」って箇所です。
そこで実際に筆者も行なった安全な手法を紹介しておきます。
(現在は動画サイトに実演動画をUPしている人も数多し。
 参考になるでしょう。)







更にカッターとアルミ箔を用意します。

@
 24番目、言い換えれば、上図の向きならば
 下から7番目です。







B
 無事切り離せたら、カッターの先端で
 グイッと上へ持ち上げます。








Aの箇所の半田付けは本来、
基板の裏側からやると安定的なのだが、
基板表側の棒の方に半田付けでもOKだ。
左図の方法ならリスクなし。
何度でもやり直しが効くでしょう




A
 その下端にカッターを当ててギコギコ・・・。
 基板から切り離します。







C
 下にアルミ箔を差し込みます。
 導線の先端には予めハンダを付けておき、
 両者を重ねたところに半田ごての先端も
 上からチョンと重ねます。
 繋がったら、アルミ箔を抜き取って完了です。
 30番目の方は同様にやれば楽勝でしょう。
 
【MD】

 メガドライブのエリアプロテクトはSFC同様の “ NTSCなのかPALなのかを区別する ” エリアプロテクトの他に
 
“ MDなのかGenesisなのかを区別する ” エリアプロテクトも存在。
 正確には、それらの組み合わせによって何種類ものエリアプロテクトが存在するのです。

 「NTSC
でしかタイトル画面に進ませないけど、MDでもGenesisでも構わないよ」…後期のNTSC圏タイトルの一部

 「NTSCかつGenesisでしか、タイトル画面に進ませないよ」…後期の北米タイトル、Jungle Book等

 「MDでしか
タイトル画面に進ませないけど、NTSCでもPALでも構わないよ」…日本版ダイナマイトヘッディー等

 「PALでしかタイトル画面に進ませないけど、MDでもGenesisでも構わないよ」…後期のPAL圏タイトルの一部

 「PALかつGenesisでしか、タイトル画面に進ませないよ」…Daze Before Christmas等

 「PALかつMDという組み合わせのみ、タイトル画面に進ませないよ」…英版Zero Tolerance等

 「Genesis
でしかタイトル画面に進ませないけど、NTSCでもPALでも構わないよ」…フランス版Bloodshot等

 ・・・等々。本当のところは、一概に「エリアプロテクトがかかってる!かかってない!」等と断言すると語弊がある程
 複雑なのが現状です。切替スイッチ付きのコンバーターですら対応しきれないと言われています。
 これら全てに対応するには、「NTSC・PAL」切替スイッチと
「MD・Genesis」切替スイッチを併設する以外にありません。
 その改造に関して、難易度が低いのが「MD1」と「Nomad」なのです。後者は携帯機(小画面)なので論外として。

 ところで、別件で以下の事象が確認されています。

 「一部のアジア版ソフトやTurricanはMD1でしか起動しない。MD2系の国内外本体では起動しない」

 ・・・この事象も鑑みれば、2種類の切替スイッチを併設した「MD1」こそが、
 最も柔軟なグローバル対応が可能な事、疑う余地無きほど明らかです。





・・・上画像の黄色いで囲った部分をどうするか、模式図が右隣のイラストです。JP2は無関係です。
用意するものは:
 半田ごて、半田、彫刻刀、導線、2Pスイッチ×2個 です。
 2Pスイッチが無ければ3Pスイッチでも6Pスイッチでも構いませんが、その場合は
 片方の導線をを真ん中、もう片方の導線を真ん中以外に半田付けします。

彫刻刀で掘り込む際、JP1が切れたかどうかは目視で確認できますが、
JP3とJP4は本当に切れたか否か目視で確認できません。この2つは、JP1よりも深く掘る必要があります。
ちょっと掘ってPALソフトを起動しようとし、ちょっと掘ってPALソフトを起動しようとし・・・繰り返せば確実です。

ただし!上述の通り
「PALかつGenesisでしか、タイトル画面に進ませないよ」というソフトを使って
MDモードのまま掘り進んだら、いつまで経っても起動しないままなので基板裏側まで突き抜ける恐れも。
それなら先にMD/Genesis切替スイッチをつけ、Genesisモードの状態で、この作業に入れば安全であると。

「PAL兼MDモード」で起動する事が著名なInfogrames作品を買って、それで動作確認しながら掘り進むのも安全策の1つ。

・・・無事、2つのスイッチで切り替えができるようになったら、片方がONでもう片方がOFF、・・・とか色々切り替えれば
全てのソフトに対応できる筈です。
( しかしホントーに極一部のタイトルはNTSCモードに戻した途端、正常に動作しなくなるかもしれない。
 当サイトは今更試さないが、「Super Skidmarks」は怪しいかもしれない。これは原作がAmigaで50Hz環境で製作されたゲームだ。)


【SMS】

 海外マスターシステムソフトをコンバーターかまして国内MD本体で遊ぶ際の「例外」情報をまとめておきます。
 (これは「コンバーター無し」というワケにいかない。ピンの数が違う為。)

 ブラジル後期のマスターシステムソフト(箱の背表紙が青色で統一された時代)の中でも後期の作品は
 MD1系本体+コンバーターでは動作しません。MD2系本体+コンバーターで動作します。
 但し、「Master System Converter 3」以降のより小さいサイズのコンバーターでは
 動作しないタイトルあり(Sitio do Picapau Amarelo等)。

 MD2系の本体、といっても、例えばX-eyeに
Genesis Power Base Converterは物理的に挿せません。
 この場合、
 X-eyeと
Genesis Power Base Converterの間に更にコンバーターをかませば動作します。
 その「コンバーター」とは、切替スイッチが付いていない
ゴミ同然のモノでOKです。(右画像)


当ページは海外ソフトを動かすという話をしています。日本の「メガアダプター」と混同しないでください。

 
【CD32】

 
NTSC本体では起動しない、または、(ゲームを遊ぶ上で)致命的な不具合が
生じるPALソフトが(比較的多く)存在する。
とはいえ、PAL本体を買って遊ぶにはChapter3で記載の準備が必要。
そこで「PALモードで起動する」という遊び方が存在する。
(とはいえ、RGB接続でなければ白黒表示となります)

別売りのAmigaマウスを2Pポートに挿し、その左右を同時押ししながら
CD32本体を起動する。右のスタートアップメニューが出る。
その真ん中の「Display  Option」をクリック、「PAL」の□欄をクリックして
「Boot」をクリック。本体の出力がNTSCからNTSC50に変わる。
(ホントはCD32パッドの赤と青同時押しでも右画面は出せるが、マウス操作必要。)

このモードでは全てのPALソフトが起動し動作します。
ただし、以下に例外を列挙しておきます。

「Fears」…50Hz環境でしかタイトル画面へ進めない上、本体に予めセットした状態で起動しようとしてもエラーになります。
    CDを入れていない状態でCD32本体を起動、CDを入れてフタを閉めたら上述の方法で
    右上画像の画面を出し、PALモードに切り替えてBootをクリックしましょう。
「Ultimate Gloom」(1997年発売)…CD32タイトルとして数えられることがありますが、
    CD32ソフトとして起動するためのトレードマークファイル及び、
    ゲームを立ち上げる為のStartup-sequenceやLibraryファイルすら持ってません。
    これは正真正銘の、単なる「Amiga CD」(Amiga+CDドライブ)用ソフトです。
    (CD32本体そのままでは「Amiga CD」ソフトは起動できません。詳細は別ページで説明しています。
     最も、「Ultimate Gloom」はAmiga CDとしても遊ぶことが不可能なことを当サイトは解説済みです。
     フロッピー版を作って、CD32+FDDで遊ぶことになります。)
「Assassins CD 1」や「Assassins CD 2」…元々50Hz環境でしか起動しませんが、
    「Assassins CD 1」に限り、Workbenchコースを選択すれば、(もしNTSC本体なら)60Hzに強制変更され
    NTSC本体でもカラーで遊ぶことが可能です(収録タイトルによっては再度50Hzに強制変更されます)。

「The Assassins CD 4」(1999年発売)
「The Assassins Ultimate Games Collection」(4枚組、
4枚とも裏面が黒色のCD-rom
    ・・・流通している大半のロットでは起動しません。

    他のAmiga CDソフト同様Workbench上で起動しようとしても読み込めず(アイコンが出ない)、
    数秒後には必ずCDが逆回転し始めます。逆回転しだしたら即、本体電源を切って下さい。異音がすることがあります。
    中身を利用するにはPC上でデータをコピーし、フロッピー等を介してCD32(+FDD)へ持ち帰るという手段があります。



【その他のレトロハード豆知識】

NES:
 カート側のオス端子と、本体側のメス端子のピン数が違うのでコンバーター必須です。
 Newファミコン+コンバーターで ほぼ全てのNESソフトが動くので、本気ならこの組み合わせで。
 ただし極一部のPALソフトにはエリアプロテクト有りとの報告有り。
 それらを起動するためのリージョンフリー化・改造方法は動画サイト等を参照してください
 (当サイトでは対象ソフトが無いので行う予定がありません)。

北米/南米Sega CD:
 日本のメガCD本体では一切起動しない上、コンバーター(CD+ Plus)併用でも動かないタイトルあり。
 ゆえに北米の本体を買うのがセオリーとなっています。
 ただし、CDXやX-eyeでは起動しない北米Sega CDソフトが極一部、確認されています(北米版「夢見館の物語」等)。
 ブラジルのSega CDソフトは北米SegaCD本体でOKです。
 ブラジルMega 32X CDソフトは北米SegaCD本体+日本国内32X本体でOKです。

PAL圏のMega CD
 残念ながら日本/北米版本体で起動できず。PAL限定タイトルの幾らかは21世紀に北米版としても再販されています。
 2012年、遂に「The Smurfs」が北米SegaCD版として再版されたことで、
 PAL限定タイトル目当てでPAL本体を買う価値は ほとんど無と成りました。
 「いや、そんなこと聞いてない〜っ!PAL版を遊びたいって言ってるんだけど!!」
 って人はChapter3を参考にしてPAL版本体をご購入下さい。

スーパー32X
 北米ソフトのエリアプロテクトは、メガドライブ側に設けた切替スイッチ次第で動作します。
 32X自体は日本国内本体のままでOKです。
 Sega CD 32X の場合は、北米SegaCD本体+日本国内32X本体でOKです。
 ただし、
 MD本体と32X本体を共に50Hzで統一していなければ正常に表示できない、
 というPALタイトル存在します、その場合はMD本体も32X本体もPAL版で揃えないといけないので、
 Chapter3を参考にして下さい。


TG16
 TG16ソフトは国内PCエンジン諸ハードに挿さりはしますが起動しません。
 (昔の情報で「Night Creatures」は動く、というものがありましたが、ガセであることを確かめました。)
 北米版本体を買いましょう。北米版本体でPAL版TG16ソフトも動きます。

エリアプロテクトや不具合がないレトロハード一覧
 ゲームボーイ、LYNX、ゲームギア、CDロムロム、スーパーCDロムロム


2018年・追記:
 今更ですが「PALのゲームが遊べるよ!」の解釈に関して、補足説明が必要でした。
 Chapter 1で説明したとおり、取りあえず垂直同期を50Hzに切り替えてエリアプロテクトをかい潜って、
 「ほらっ、タイトル画面・ゲーム画面へ進めたでしょ?」っていうのが筆者にとって「遊べてる」の解釈です。
 このサイト的には、特にSFCとメガドライブは「起動後に60Hzに戻す」スタイル推奨ですから、
 エリアプロテクトをパスした後は、まさにNTSC環境でPALソフトを遊ぼうという趣旨です。その際の
 一番顕著な違和感は音楽の速度が若干速くなることでしょう。それに関して筆者は「気にしてられない」し
 「気にもならない」。やはり通常起動しないタイトルが起動すること自体の喜びが勝っている状態、が実情です。
 その辺の筆者の感覚・許容具合を察するには、このページの○fpsの値に着目する等して下さい。
 しかしココを見た後輩プレイヤー全員も同じだとは限りませんね、確かに。
 「新田光明さん、ココに記載された通りに改造して実際にゲームも始まったけど、音楽がチョット速いよね、
  これはどーするの? え?それは直せない? そもそも気にならないんですか!?」
 って人がいたとしたら、
 「えっ、アンタ気になるの?それなら(Chapter 3を参考に)PAL本体で遊ぶしか勧められんわ、アンタには。」
 と返すしかないのだが、それならそうと、当ページを書き上げた2011年時点で明記しておかないといけない。
 「こんなことなら大切なNTSC本体を改造せずにPAL版も買ったわ」って人が現れたら不本意なので。
 チョット配慮が足りなかったかな。


Chapter 3: PAL版本体で遊ぶ為のイロハ →Go !!



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