NTSCとPAL

Chapter 3: PAL版本体で遊ぶ為のイロハ

必要な物は3種類。TVと変圧器とプラグコンバーターです。

【TV】

 結論から言うと PALのテレビか マルチテレビ(ユニバーサルTV)が必要という事です。

 NTSCとPALの違いと、NTSC50に関してはChapter1でザッと説明しました。
 これらの映像方式をマルチテレビに入力した時、どのように表示されるかをハッキリさせておきます。

↓ ゲーム機の映像方式 \ テレビの映像方式 →
NTSCモード
PALモード
PAL60モード
NTSC本体の
NTSCモード(通常のNTSC)



NTSC本体の
PALモード(NTSC50)



PAL本体の
PALモード(通常のPAL)



PAL本体の
NTSCモード(PAL60)




 垂直同期周波数が(50Hzと60Hzで)異なると画面は流れ、
 その他の映像方式要素が(PALの諸要素とNTSC諸要素で)異なると白黒表示になってしまいます。
 1つ留意すべきは、PAL本体の映像をPAL60モードのTVに映した時、
 コントラストが濃すぎる…というか、もはやオリジナルの色ではないということです。

 上の表は「列」が1列足りません。NTSC50モードのTVに映した場合の様子が記載ありません。
 敢えて伏せているのではなく、マルチテレビはNTSC50モードを搭載してない為です。
 NTSC50モードを搭載するTVが実在したとして、NTSC50を入力したとしても、それは
 上の表の右下画像、PAL60をPAL60モードのTVに映した際と同様の “ 非完全カラー ”であると推測できるのです。
 もちろん、白黒で遊ぶよりはマシですが。

 エリアプロテクトをかい潜るために本体側の出力をどうしてもNTSC50にせねばならないけれど、
 タイトル画面に進んだら通常のNTSCに切り替えましょうね、という所以はココにあります。

 欧州のPALに対応していないマルチTVなど存在しませんが、
 ブラジルの「PAL-M」に対応したマルチTVは、ひと際高価である傾向が見られます。
 ご自身の目的に合わせて選択すればよい話です。

補足説明:
 TV画面の垂直同期周波数と電源の周波数は全く別のものです。
 マレーシアや東日本は50HzのNTSC圏ですが、TVの垂直同期周波数は60Hzです。
 

【変圧器】


購入したPAL本体のACケーブルの記載をチェック。
PAL圏は日本よりも高い電圧を使っています。
「220-240V」とは、220Vでもいいし240VでもOK、
という意味です。
日本の電圧は100Vなので、そのまま挿しても
電圧不足で動かないでしょう。

そこで変圧器を使って電圧を高めて、
ゲーム機本体に入力してやろう、と。
有名どころでは日章のMF-100-EXです。(右画像)
中古相場は2000円台前後です。
変圧器を買うときは「実際に何V出力するのか」という点と
「何Wまで耐えられるのか」を、プラグ形状よりも優先的に
確認すべきです。
画像の商品は(日本の100Vを入力して)240Vとして出力し、
100Wまで耐えられるという商品です。
レトロゲーム機は せいぜい10W台ですから、
この変圧器で余裕ということになります。

「110Vを220Vに変えるよ」って商品には注意しましょう。
それは入力電圧を単に倍にするだけなので、
日本は110Vでなく100Vですから、出力は200V。
もしゲーム機側が240V必要ならば、まだ電圧不足です。


補足説明:
・電圧差は「±1割」ならば変圧器なしでも問題ないと言われています。
 北米の本体(110V)は日本国内(100V)で遊ぶ事ができるし、
 PALの本体(240V)は220Vの電圧でも問題なく遊ぶ事が出来ます。
・変圧器は(電源の)周波数まで変えることは出来ず、
 周波数が60Hzのままで不具合が生じるPAL圏の電化製品はあります。
 ただ、ゲーム機とTVの場合、電源の周波数が60Hzのままであっても不具合はありません。
 垂直同期周波数と電源の周波数は全く別のものであると、TVの項の補足説明で触れました。
・「ACアダプタの説明欄に「5V・1.2A」等と書いてあるのに、
 そのプラグ部分には遥かに大きな数字が記載されている!」
 …それは、そのプラグ自体がそういった高い電圧まで耐えられるというだけの意味で、
 変圧器を選定する際に参考にする数字ではありません。変圧器の許容W数は小さい方が廉価で良いです。
・紹介した変圧器は底部にツマミがあります。日本で使用する場合は「100V」の方に合わせましょう。
 これを誤って「240V」のほうにしたままで使用しても、動作しないだけでショートしたりすることはありません。
 (メーカーに確認済み。)
・この手の話題のブログなどを見ると「ショートした!」という恐ろしげなフレーズをちょくちょく見ますが
 まとめると、高電圧の地域(PAL圏など)で低電圧の電化製品(日本のものなど)を、
 ついうっかり変圧器かまさず挿しちゃった・・・などの軽率なミスや
 その変圧器の許容W数を大幅に超える電化製品(ドライヤーなど)を使用したために変圧器が壊れた、
 といった類のものです。
 本気でPALのゲームに興味がありココへ来ている御仁が、ココを読んで慎重にトライしたならば
 絶対に起こり得ない筈の事象です。


【プラグ・コンバーター】

 プラグの形状について
 日本国内の呼称だと、日本や北米は「A」であり、欧州地域は「BF」「B」「C」「EF」と様々です。
 BFは分かりやすいが、BとC、BとEFは似ているので注意が必要かも。



 BとCは円柱形の極が2本と同形状ですが、その直径はBが4.8mm、Cが4mmです。
 EFタイプの極の直径はBタイプと同じですが、アース極を差し込む穴が付いています。
 ただし、ゲーム機の電源プラグをコンバーターに挿す過程に於いて「アース極」は無視できる存在です。

 プラグのコンバーターはEbayのアジア系セラーが送料込激安で販売しています。
 これならYahooオークションに転売したとしても相場はせいぜい500円でしょう。
 要は、そんな廉価な物が大量に流通している為にプラグの件で困る事は何一つないですよ、ってコトです。

 ただ、その場合は取扱説明書がないので、
 うまく挿さらなくて戸惑うかもしれません。

 Cタイプの電極は、黄色い矢印のように端を合わせる感じで挿すと
 シッカリ入ります。
 一見入らないように見えるBタイプやEFタイプはオレンジ色の矢印のように
 窪みをよく見てズレることなく電極を挿します。

 一応、念の為。

むしろ、そのコンバーターがどのタイプに変換するのかを確認すべきです。
AだのBFだの、こういった呼称は海外では通用しません。
外国人セラーは「UK to US」だの「 to EU」といった書き方で売っています。
特に「EU」タイプには注意しましょう。
上述の通りBタイプとCタイプの直径差は画像で判断難しいので、
欲しくないタイプが送られてくる可能性有ります。

変圧器の項で紹介した日章の商品は、入力側(コンセントに挿す方)がCタイプ、
出力側(ゲーム機のプラグを挿す方)はAまたはCタイプに対応しています。
となると、この場合に限っては、Aタイプへ変換するコンバーター(=「to US」)を
2つ買えば確実であると言えます。

備考:
実際に筆者が買った「EUタイプに変換」のコンバーターのプラグ形状は
その太さがCとB(EF)の中間くらいでした。
Cタイプのコンセントには入りませんが、日章の変圧器の出力側には挿せました。
ま、安かろう悪かろうの世界ですから、
画像判断で確実な「A」タイプへの(=「to US」の)
変換コンバーターが無難だよって話です。



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